雨の降らない星では愛せないだろう?

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舞台『俺節』 ~『津軽海峡・冬景色』が見せてくれた景色

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俺節のこと、うまく言葉にできなくて、まだ心の中にしまってある。

あれからもう2ヶ月以上が経ったなんて。信じられない。

日常のふとした瞬間に、みれん横丁が、安アパートが、そして雨の野外コンサート場が。よみがえって、胸が熱くなって、どうしようもなくなる。

 

コージが、テレサが、オキナワが。

好きで、好きで。愛おしくって。

彼らの人生をもう他人事と思えなくなってしまった。

成長の先に何があるのか。物語のその先を。

これからもずっと彼らに思いを馳せて生きていくんだろう。

 

あんなに熱い舞台を私は他に知らない。

いのちを削って魂を燃やす、あの世界。俺節の世界。

ハッピーでダンサブルなミュージカルでもなく、不条理なストレートプレイでもなく。

そもそも、形なんかどうでもよくって。

何かにおさまらない、ただ、ぶつかりあうエネルギーに圧倒されるだけの演劇。

どう形容したらいいのか分からなくて、他人におすすめすることもできない。

好きになればなるほど、細部までその全てが大切で。

とにかく全部観るしかない観てください…と言いたくても映像化されていない。

だからこそ、すべてを記憶しておきたくて、まるっと全編書き起こしに挑んでいた。

しかし、6月は何かと立て込んでしまい(私の6月:俺節→俺節→カントリー新体制発表→ジレッタ→℃-uteラストコンサート→猫→アンジュルム8人リリイベ→俺節→俺節→ハロー新体制動画→ジャム3種CDありがとうおとももちCD同時発売→ももちラストライブ) 、書き起こしが中途半端な状態で断筆してしまったのが残念でならない。

本当は、もっとどっぷりと俺節の世界に浸かっていたかった。

 

9月3日放送の関ジャム完全燃SHOW

安田さんは長らくスタジオトークにもセッションにも登場していなかった。

実に4ヶ月ぶり、だったらしい。

待ち望んだ出演の、まさにその日が石川さゆりさんゲストで本当に良かった。

舞台で安田さんが石川さゆりさんの持ち歌『津軽海峡・冬景色』と『天城越え』を歌ったことに触れ、褒めてくださった。


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安田さんは目を潤ませ、泣きそうになっていた。

私も、泣いていた。

うれしい。とんでもなくうれしかった。

「歌で世の中とっくり返してやる」と戦ったコージが、足掻いても届かなかった歌の世界に認められたような、そんな気がした。

 

感激で何も言えない安田さんを側から支え、仕事のオファーをする大倉さん。

石川さゆりさんのこれまでのコラボ相手がどれだけ豪華か知っているにも関わらず、そこに安田さんが加われると信じきっている目。

安田さんのお仕事を外部に認めてもらうことは、安田さんのためというよりも、何より自分が嬉しいんじゃないだろうか。

売り込む大倉さんに、恥ずかしそうにすがる安田さん。

なんとも微笑ましかった。なんとも優しい光景だった。

『Never Say Never』が『スパイダーマンホームカミング日本語版主題歌』に決まった時も、ラジオで「ヤスの歌がようやくタイアップになった、感無量です」って言ってくれた大倉さん。

私の、きっと何倍も何十倍も何百倍も、うれしいんだろうな。

   

舞台『俺節』書き起こし抜粋

せっかくなので、この機に『津軽海峡・冬景色』が歌われる前後の場面だけでも文字起こしを形にしておく。

 

・観劇中にメモをとったものではなく、後から思い出して記録したもの

・抜けているところや間違えて覚えているところもある

・場は自分でつけた

 

********************

 

7場:ストリップ劇場の楽屋

娼婦として買われるテレサを救うため、コージが高値で競り落とすが払う金が無く、揉めた末に5万円分の歌を聞かせると豪語する。『北国の春』を力強く歌い出すが、いつものように「めぐせくて(※恥ずかしくて)」歌えなくなってしまい、つまみ出されそうになる。しかし、乱闘騒ぎの中コージは競り相手(助平)の胸倉を掴み「あのふ~るさとへ、かえろかな~ か~えろ~かな~!!!!!!!!!!」と大声で歌って聞かせる。再び乱闘騒ぎになったドサクサに紛れ、テレサはコージとオキナワを楽屋にかくまう。テレサは覚えたばかりの『北国の春』を片言で歌ってみせるが、店の姉さん(エドゥアルダ)にその歌を歌わないように怒られる。歌詞に出てくる「ふるさと」という日本語の言葉の意味を問うテレサ。

 

♪北国の春

 白樺 青空 南風

 こぶし咲くあの丘

 北国の ああ 北国の春

 季節が都会ではわからないだろと

 届いたおふくろの 小さな包み

 あの故郷へ帰ろかな 帰ろかな

 

マリアン:「ふるさと」は帰りたくても帰れないところだよ、アンタでいえば、ウクライナ?

コージ:あ、いやこの歌は…

マリアン:アンタもねぇ、中途半端に優しくしないでくれるかな!(テレサに向かって)お金稼ぐんでしょ!家族に仕送りするんでしょ!だったらそんな男商売の邪魔だよ!こっちはそういう心とっくに捨ててやってんだ!帰って!もう大丈夫でしょ、さぁ帰って!

―楽屋のセットごと上手にはけていき、取り残されるコージとオキナワ

コージ:オキナワ…

オキナワ:わーかってるよ、帰れないからこそ、歌う歌だよな

コージ:あぁ…

オキナワ:(悔しそうに)お前がちゃんと歌えてたら!伝わったよ…

 

♪北国の春(サビのメロディーインスト)が流れる中、《暗転》 

 

8場:スナック

ー中央に階段、下手にスナック、酔ってだらしなくソファーに座るコージ

カウンターの客1:まじめにやってる奴が損をするんだ!

カウンターの客2:そーだそーだ!

 ―コージ、酔って上機嫌な様子、カウンターの客の会話にぶつぶつとヤジを飛ばす

コージ:すみませぇんもう一杯!!

 

《舞台下手:WCから流水音》

 

―千鳥足でWCから出てくるオキナワ、コージに絡み始めるが2人とも呂律が回らず陽気な喋り方

オキナワ:しょもしょもねぇ!しょもしょも!なんで歌えないのにすぐ歌おうとしちゃうの!

スナックのママ:(ウイスキーのグラスを置きながら)はい、飲みすぎないでねー

オキナワ:しょもしょも何になりたいの!

コージ:歌手だよーん

オキナワ:なーれねぇよ!って今のまんまじゃー

 

―流しの大野、階段から降りてくる

カウンターの客:(大野を発見して)おっ!大野さん!1曲やってよ!

―大野が準備するうち、客が1人遅れて入ってくる

客3:大野さんが入ってくるの見えたから

大野:嬉しいこと言ってくれるねぇ~

 

―大野、階段中腹にてギター片手に歌い始める、振り返りなんとなく聞き入るオキナワとコージ

 

♪いっぽんどっこの唄/大野

 何はなくても根性だけは

 俺の自慢のひとつだぜ

 春が来りゃ 夢の木に

 花が咲く 男なら

 行くぜこの道

 (「イヨッ!」カウンターの客が合いの手を入れる)

 どこまでも

 

―コージ、あっけにとられる

 

コージ:まただ…なしてあの人はおらの気持ちが分かるんだべか…

 

―階段を下りてくる大野にコージが駆け寄る

コージ:弟子になります!!

―大野、困惑する

大野:弟子にしてくださいってのはあるけどよぉ、弟子になりますってのは初めてだ

コージ:弟子になります~師匠ぉ~

大野:弟子なんかとらねぇよ

オキナワ:(コージを大野から引き離しながら)すみませんこいつ酔っぱらってるんで

大野:お前横丁の人間だな、連れて帰れ

客:(からかうように)弟子にしてやんなよ、このままじゃカラオケに食われちまうよ?跡継ぎ跡継ぎ!

コージ:そぉですよぉ~師匠ぉ~

―コージ、甘えるように大野を指でつつく

 

大野:(堅い口調で)師匠ではない

コージ:(むっとして)師匠です

大野:師匠ではない

コージ:(言い張って)師匠です!

大野:師匠ではない!

コージ:師匠だ師匠だ師匠だー!(ダンッと足を踏み出す)

大野:ではないではないではない!!(対抗して足を踏み出す)

コージ:師匠だって、言ってるべさー!!!

 

―コージ、勢い余って大野をグーで殴り飛ばす

 

大野:(へたりこみながら驚いて)何をするー!!!

コージ:(自分のしたことに驚いて)あの!すみません!おら…!

大野:(怯えて距離を取りながら)なんなんだ!!!!

コージ:おら、北津軽郡から、

大野:あ?

コージ:ばっちゃが、でなくて、あれが、その……

 

―コージが黙り、一瞬の間ができる

 

コージ:わーーーーっ!!!

 

ーパニックになったコージが叫びながら舞台後方の闇の中に駆け出す

オキナワ:コージ!

 

―再びの間、オキナワが大野に「すみませんね」というような仕草をして間を取り持つ

 

―コージ、パニックのまま叫びながら前方に駆け戻ってくる

 

コージ:わーーーーっ!!!!!!

 

ーコージ、勢いのままに想いが爆発したかのように歌い出す

 

♪津軽海峡、冬景色/コージ

 風の音が胸を揺する

 泣けとばかりに

 あぁぁぁあぁぁぁ~(美しいファルセット)

 津軽海峡 冬景色

 

―突然の熱唱に一同茫然とする、コージ続けて思いきり歌う

 

♪天城越え/コージ

 何があってももういいの

 

―オキナワ、割って入る

 

オキナワ:(怒気を含んで)おい!コージ!お前なんで歌えるんだよ!!

客:別に怒ることじゃないだろう

 

ー正論を茶化した客の声はオキナワには聞こえない、まっすぐコージだけを見て

オキナワ:教えてくれよ…お前が歌える時と歌えない時の違いをよぉ!

コージ:そんなん、おらにも分がんね!

オキナワ:はぁ!?

 

―2人のやりとりをじっと見ていた大野が優しく語りかける

 

大野:…言いたいことがうまく言葉にならなくて、やっと喉から出てきてみたら、歌になっちゃったんだよな

―コージ、ハッとして口に片手をあてる

コージ:…それです

大野:(同情するように)お前…そんなんじゃ生きづれぇだろ

コージ:(涙ぐみながら)はいぃ…

大野:ただ、それは俺も同じだ…

 

―遠くを見て、考え込む大野

 

大野:…給料は無ぇぞ?

オキナワ:(振り返って)え?

大野:質問されるのは苦手だ、何も聞くな

コージ:はい!

オキナワ:おっと?(腰に手を当てる)

大野:あと、俺の言うことは絶対だ

コージ:は…(言いかけて)

オキナワ:はいぃー!承知しました!師匠ー!!(コージの肩を抱く)

大野:(驚いて)お前も?

―オキナワ、ギターを取りに行く

オキナワ:俺たち、コンビでやらせてもらってるんで

 

―しばしの間ののち、大野ふっと微笑んで

大野:…ついてきな、俺のショバ、案内するぜ

オキナワ・コージ:(顔を見合わせて喜ぶ)おおーっ!!

ー成り行きを見守っていたスナックの客も喜ぶ

 

ー階段を上っている大野にコージが下から呼びかける

コージ:…「師匠」!!!

―大野、ゆっくり振り返り、サムズアップで「ついて来いよ」という仕草をする

オキナワ・コージ:(再び顔を見合わせて歓喜)おおーっ!!

 

―コージとオキナワ、弟子になれたことを実感し、大野に続いて階段を嬉しそうに駆け上がる

オキナワ:(スナックのママに向かって)悪いけどツケといてくれー!

客:おごってやるよー!

オキナワ:ありがとよー!

 

大野師匠が弟子2人に流しの極意をレクチャーする居酒屋3軒と、工事現場でその解説をしながら仲を深めていくコージとテレサ(と山梨出身ハシモトさん)の場面に続く

  

********************

 

おそまつさま。

文字にするだけでよみがえる、軽快な空気と真剣な想い。

演劇が虚構だなんて、誰が言ったんだろう。 

 

 『津軽海峡・冬景色』という歌に乗せることでなんとか声にすることができた、海鹿耕治の心の叫び。

北津軽郡から出てきて、ばっちゃの想いである背広背負って、歌手になる糸口になんとかすがりたくて、弟子になりたくて…。

でもそれを言葉にすることもできず、言葉より先に手が出てしまう不器用なコージ。

そんなコージの生きづらさを、理解してくれる人が現れた。

 

オキナワとコージがコンビという明確な形をとった初の瞬間でもある。

チャンスに乗っかったオキナワ。「コンビでやってます」なんて、コージにとっても思わぬ言葉だったかもしれない。

だけど、そんなオキナワとのコンビを守ることが、デビューと両天秤にかけられるくらい大事なことになる。

この後、物語は二転三転…七転八倒していくけれど、コージとオキナワが曇りなく同じ喜びを分かち合った数少ない場面がここだったんだと、振り返って思う。

 

『津軽海峡・冬景色』

コージの口から出てきたのは、1番のサビである「凍えそうな鴎見つめ泣いていました」ではなく、2番の「風の音が胸をゆする泣けとばかりに」だった。

そして関ジャムセッションで、安田さんが口ずさんでいたのがしっかりと映された箇所も、「風の音が胸をゆする泣けとばかりに」だった。

これは、偶然じゃない。そう思うことにした。意図的に、スタッフがここを映してくれたのだと。

スタジオでの石川さゆりさんとのやりとりも、編集して差し挟んであった。わざわざ、この部分を放送に乗せようとしたのだ。

舞台写真もインサートされた。それもあの、衝撃の雨の独唱場面。

これらは全て、敬愛だと。そう思っている。

人を動かす力があの「俺節」にはあったと。

あの「俺節」を聞いた人は、当たり前のようにコージを愛したくなると。役者・安田章大を敬いたくなると。

ファンの欲目で、そう信じている。

 

石川さゆりさんの歌に寄り添うように、時に情景を呼び起こすように、安田さんはエレキギターで歌った。

心地良さそうにギターの音を響かせる安田さん。口ずさみながら、苦しみ抜くように顔を歪ませる安田さん。

コージと同じく、安田さんも感情を言葉にできず、生きづらさを抱えて生きている部分がきっとあるのだろう。

求められたもの、グループにとって足りないものを書く安田さんにとって、作詞作曲は自己表現になりうるのか。

彼の歌は彼のために歌われているのか。

歌い手は歌で救われるのか。

彼は自分のためにギターを鳴らせるのか。

安田さんについて、そんなことを考え始めると、いつも勝手にくるしくなる。

だからこそ、「歌は自分自身でなければならない」という『俺節』の台詞は、非常に刺さった。 

安田さんは、どんな気持ちで台詞を身体の中に取り込んだのだろう。

 

『俺節』

おーい おーい ねぇ

届いているかい?

 

私は、彼の歌を聴く者として、存在していたい。

安田さんの鳴らすギターを、紡がれる心の声を、ただ受け取る者でいたい。

恋人にも、相方にも、なれない。

メンバーにも、スタッフにも、なれない。ならない。

 

本当の理解者にはきっとなれない。

彼に求められる人にはなれない。

 

けれど、私は安田さんを求めている。

もっともっと、歌ってほしい。

もっとギターを歌わせてほしい。

安田さんの想いを聴きたい。いつだって、欲しがっている。

 

そして、もしも安田さんが心の声を誰かに聴かせたいと望む時があるのなら。

ただ黙って歌を聴く、静かな聴衆でありたい。

名もないファンでいい。

雨に打たれるひとかたまりの、その中の一人でいたい。

 

今後、コージの歌を聴くことはかなわない。

けれどきっと安田さんは、コージの、オキナワの、テレサの、そしてみれん横丁の皆の想いを背負って、どこまでも歌の世界に挑み続けてくれるだろう。

「なんもかんも背負いこんで」くれるだろう。

また勝手にその苦しさを想ってしまうけれど、そんな安田さんだから、私はきっと好きなんだと思う。

大好きな『俺節』を背負ってくれる人が、大好きな安田さんで良かった。

 

舞台『俺節』。今もなお、熱い、熱い物語。

コージが苦しんでたどり着いた境地に、感謝している。

安田さんが連れてくれていった世界に、感謝している。

 

そしていつか安田さん自身の「俺節」を聴きたい。

その時は聴衆の一人として、誰よりも大きな拍手を送りたい。

 

届いているよ。

頭の中でいつも、いつも、いつもいつもいつもいつも、流れているよ。

 

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戌亥「じゃあ…呪いだな。」

行代「そうね、呪いね。いくつになっても『俺節』映像化もしくは再演せめてサントラCDを望み続ける呪い。」

戌亥「夢見る…呪いだよ。」

 

行代ちゃん!俺節のためだったら私もヘアの1つくらい出すよ!(いらない)

 

  

▼観劇当時の感想はこちら

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