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ドラマ「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」最終話(9話)感想

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こんにちは。秋が始まろうとしていることにまだ馴染めないポルカです。毎朝出勤する度に「えっ今9月?」と新鮮に驚いてしまう。男のアイドルと女のアイドルに夢中になっている間に私の夏は終わっていきました。加入したりステージデビューしたり卒業したり加入したり解散発表したり解散発表したりメジャーデビューが決まったり。今年の夏は忙しかったですね。

つばきファクトリーメジャーデビュー決定おめでとう゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚

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それでは、ドラマ「ON」の感想に参ります。

毎週楽しみにしていたドラマですが、とうとう「ON」が終わってしまいました。全9話(初回2時間)なので約10時間分。+横山さんの短期連載「OFF」や番宣等でこのドラマはこの3ヶ月間私の中でかなりの存在感を持っていました。さみしいです。

◇過去の(まばらな)感想はこちら

横山裕さん演じる「東海林泰久」は開始前に想定した以上にキャラクターとして浸透したんじゃないでしょうか。31歳、巡査長。思っていたほど、「横山裕」がドラマに出ている感じがしなかった。東海林っていうより「東海林先輩」って先輩を付けて呼びたくなる感じはなんなんでしょうね。主人公の呼び名に影響される。ほら、のだめの千秋先輩とかも。

昨日の放送終了後の「OFF」での署名にはジンとくるものがありました。「横山侯隆」とは別に「横山裕」がいるように、彼の中には別人格として「東海林泰久」も確かに存在しているのだなぁと改めて気付かされました。役者を生業にされている方にとっては当たり前のことかもしれませんが、「アイドルである横山さん」がそんな風に演技に臨んでいるとは私は信じていなかったのかもしれません。演技における表情作りや発声方法などには課題が多いかもしれませんが、実はそんなことよりも大事な、輪郭のあるキャラクター作り。横山さんだから創り出せた人物像が今回のドラマにおける「東海林先輩」だったんだと思います。

「東海林先輩」は、監督さん、演出さん、スタッフさんはじめtwitter公式アカウントの中の人に至るまで、制作側にも愛されるキャラクターだというのも伝わってきました。あんなにツンケンしてるのに。ほとんど笑わないのに。エアギターだってしないのに。絶対結婚したくないタイプの人なのに(できない)魅力的に見えちゃうんですよねぇ。若い子向きの恋愛ドラマでもないのにジャニーズアイドルのサービスシーンが豊富で。でもそれは「横山裕」の見どころではなくて、「東海林先輩」というキャラクターのためのもので。いつしか関ジャニ∞ファンの視聴者の目的は、「横山裕」が出演するから観る→「東海林先輩」を観る、に変わっていたんじゃないでしょうか。更に「東海林先輩」が例え出ていない場面でも充分に引き付けられるようになっていったんじゃないかと思います。

関ジャニクロニクルで「ON」のコントをした時、装いはまるっきり「東海林泰久」であっても、身にまとう雰囲気が全然違っていて感心しました。おそらく、横山さんなりの「東海林泰久ON」スイッチが入っているかいないかなんでしょうね。横山さんが「東海林泰久」を出せるのは、台本を読み込んだ上で、周りの役者さんやスタッフさんと協力して作り上げていくその大切な空間ありきなのだと感じました。それにしても藤堂すば子、藤堂丸子、藤堂ヒナ子は大爆笑した。あの美しきオープニング映像もクロニクルスタッフにかかれば良質な笑いの素材ですね。ナレーション刑事かよ。

 

東海林先輩に限らず、「ON」の世界の人物はしっかりとその世界で生きている感じのする人物ばかりでした。誰より、主役の「藤堂比奈子」の輪郭が際立っていた。ドラマタイトルにフルネームが入っているとなんだか火曜サスペンス劇場みたいなんですが、それに見合うだけの際立つ個性を持ったキャラクターでした。刑事ドラマで重視されるストーリーや事件解決のディテールよりも、「藤堂比奈子」を描くことを重視したキャラクタードラマでしたね。第2章ともいえる6話以降は特にそれが顕著になっていったと思います。

細かいところですが、比奈子がいつでも肩掛けカバンを持って歩いているところがいいなと思います。刑事ドラマの刑事さんとかってあまりカバンを持ってないけど、実際スーツで働く女の人だったら基本的にいつもカバンは持ってると思う。ナイフをいつでも取り出せるようにっていう設定と演出のためなのは分かってるけど、働く女のリアル感があって好きなポイントでした。

 

あともう一つこのドラマの好きだったところは、音楽です。劇伴音楽が素晴らしい。作曲者の菅野祐悟さん…調べたらめちゃくちゃビッグネームじゃないですか…。サントラ界の寵児、なんて呼ばれてましたよ…お名前を存じ上げなくてすみませんでした…。

ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子 オリジナルサウンドトラック

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メインテーマ、めっちゃ好きです。オープニングでの使われ方もいいし、クライマックスでの入り方もいい。メロディーの始まり方が弱起なのがめちゃくちゃいいと思います!無条件に高揚させられる。オーケストラの音色が美しくてせつなくて聞き入っちゃうんですよね…。インストだからいいんだな。感情揺さぶられる。CMで聞こえてきたら関係ないことしてても絶対反応してしまいます。

あと、物語が展開しそうな時にかかるターンタターンターターターターター(笑)っていうピアノ曲も好き。ちょっとこわい時にかかるトットットットッって曲も(笑)印象的でした。最終回のクライマックスでかかってた曲は新しい曲でしたよね?壮大でドラマチックで、音楽だけで聞いても素敵だろうなって思う曲でした。

余談ですが、エンディングの[Alexandros]の曲の歌詞をまだ聞き取れたことがないです…(笑)

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Swan(通常盤)

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最終回は、ストーリーは無難なところに落ち着かせたな、という印象です。ずっと回想で引っ張ってきたお母さんの言葉は、実はめっちゃモンスターなんじゃ?とか思っていたけど普通に良い言葉だったし、青い目のお姉さんが殺人鬼になったのは愛が足りないからだったし、石上先生に抱きしめられ東海林先輩に説得され、信じてくれる人のために殺人しないことを選択する。まぁ無難オブ無難。

刺されちゃうよ大ピンチ><って場面では、倉島刑事が助けに飛び込んでくれるし(いつもは東海林先輩の来るタイミング)(いつも結局誰かが間に合うんだなぁ)、暗号を解くとすぐ場所わかる的なご都合主義での解決、殺す言ってる割に火の回りも遅いし、ドキドキハラハラには遠い。あ、でも「ON」らしいというか、美しすぎる殺人鬼キャラから元ヤンキャラに成り下がってしまった佐々木希が(笑)生きたまま焼かれたシーンとその歯を見せびらかすシーンはキツかった…カラカラカラって鳴らすんじゃねぇー!

最後「あなたもこうして誰かに抱きしめられていたら」で、犯人が泣いて改心、とかの展開にならなくて心底よかったです。同じ怪物仲間だと思っていた拠り所に抱きしめられて憐れまれたらそりゃ発狂するわ。

あっ。今分かった。石上先生が比奈子を「生きてることとか人との繋がりとかとかそういうものがあるとギリギリのところで踏みとどまれるもんよ」って抱きしめるシーン。なんか既視感あるなとずっと思ってたら、『スパイラル~推理の絆~』のまどかさんとひよのがそういう役割だった…!まさにまどかお姉さんがそんな感じの台詞を病院で言ってた。よくあるやつかもだけど私はそれを思い出した。

比奈子の危うさを大人たち(厚田警部補と石上先生)が受け止めてくれている姿に安心を覚えました。この2人は「手に入れられなかったお父さんの理解」と「失ったお母さんの愛情」を代わりに与える役目を担っていたんですね。

 

熱い想いをひたすら喋りで示す(拘束されちゃってるから)東海林先輩の台詞量は、最終回でこれまでの5倍くらいに増えたんじゃないか?初めての長台詞、気持ちがこもっててよかったよ。THE人間。THE刑事。唇歪んでるせいか、「とうどう」じゃなくて「てぅでぅ」に聞こえるけどね。てぅどぅーー!!!

青い目の女は「相棒」って言ってたけど、比奈子と東海林先輩本人たちはお互いを相棒だと思ってたかな?(笑) 第1話からいきなり比奈子を怪しみ、あまり仲良しにもなれないままだったので、もう少し相棒感ほしかったなー!ビジネスライクですらない感じ。だって基本2人とも単独行動だったし…。ブラックジョーク(「あなたのチョイスは右手or左手?」「真顔で怖いこと言ってんじゃねぇ」)みたいなやり取りが楽しかったのでもっと見たかったです。スイッチON比奈子はうさんくさくて苦手なくせに、OFF比奈子のこと嫌いじゃない東海林先輩愛しい。

 

最終回も波瑠ちゃんの表情の演技が素晴らしかった。かなり比奈ちゃんが人間味溢れてきてると感じたのは私だけでしょうか?厚田警部補との面談や警察内ではかなりOFFに近い表情にも見えましたし、対決シーンではナイフを持ち逡巡する姿が新鮮でした。

印象的だったのは、救出後、東海林先輩がなんか良いこと言ってるシーンでの涙目です。演技において、泣くぞ、泣くぞ、って顔をしかめることなくただ自然ににじんでくる涙って相当難しいと思うんですよ。上手いなぁと感心しました。そこから涙がこぼれるのも、勝手に流れていくのが止められない感じが上手い。水道の栓が閉まらない時みたい。無機質で、自然で、これだけ色々あってもやっぱり人間的じゃないところが、いい。藤堂比奈子の泣き方はこうだよなぁと。でも、「ただの生理現象です、たぶん」っていうことは、感情が起こり、そこから涙が沸き起こったってことの証だから、スイッチOFFの比奈子でも感じる心を少し手に入れたってことじゃないかな。あと、涙にひるむ東海林先輩可愛い。

家の内外で相変わらずスイッチをオン・オフする習性はそのままのようですが、最後に「私は刑事だから」ときっぱり選び取り、手錠をするシーンはかっこよかったです。真壁永久という殺人鬼はもしかしたら、「ナイフ(殺人)を選択してしまった場合の自分」という存在のモチーフだったとも言えるんじゃないかなぁ。そんな概念的な殺人鬼に自分の中で手錠をかけ、封印した。それと同時に、母からの期待(正しい選択をすること=刑事)殺人鬼からの期待(こちら側に来ること=殺人)という2択に縛られていたこれまでの人生に一旦区切りを付けたようにも思えます。そして、過去を清算し、自分で選択した「刑事という仕事」に向かって迷いなく歩み出す…。

結局、自分一人の問題に向き合って解決する物語なんだけど、周囲からの愛に支えられていると気付きまた歩き出す…。うーん、無難。無難だけど、良い最終回だ。無難である「信じてる」「つながってる」を最後に救いとして提示してくれたおかげで後味が良い物語だったよ。連続ドラマはこうでなくっちゃね。

 

このドラマのおかげで、3ヶ月間火曜日の夜を楽しみに過ごせました。ふいにかかるカンテレチュッのCMも好きだったので、もう観られなくなるのさみしいなー。

素晴らしい演技を見せてくれた主演の波留ちゃん、かなりのハードスケジュールの中撮影をがんばってくれた横山裕さん、脇を固めた名優陣(特に林遣都さん、渡部篤郎さん、原田美枝子さん、ジャングルポケット斉藤慎二さんがお気に入り)の皆さん、現場や広報のスタッフさん、皆さん本当にお疲れさまでした。

いつか長野に行ったなら、絶対あの七味買ってこよっと。