雨の降らない星では愛せないだろう?

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SMAP×SMAP×私

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2016年12月26日。

SMAPファンとは言えない私でもSMAP×SMAP最終回を観た。そして泣いた。「18:30から23:10?長すぎてしんどい」とか思ってたのに、しっかり全部観た。だって、面白くて目が離せなかった。

 

私の記憶に残る一番古いSMAPの記憶は、『青いイナズマ』だ。この曲のことを想う時いつも、その頃兄の部屋だった実家の2階の部屋を思い出す。古いテレビの前で、スーファミをしている時。兄と兄の友達がボンバーマンで遊んでいて、私は駄々をこねて時々混ぜてもらって。翌年からは兄が中学に上がり、5歳離れた妹と友達を交えて遊ぶ機会も少なくなったので、おそらく兄妹の歴史の中でもとても短く、とても貴重な時期だった。だから、鮮明な記憶が残っているのかもしれない。

自分の番じゃない時、兄達の背後で「あおいいなずまがぼくをせめる~ほのお~からだ~やきつくす~げっちゅ」って歌っていた私は、おそらく小学校1年だった。歌詞の意味なんて考えたこともなかったし、サビの最後の英語のところはもやもやっと歌ってごまかしていたし、AメロBメロなんて今年関ジャニ∞リサイタルで歌っている映像を観るまで知らなかった。それでもこの歌は頭から離れなくて、たぶん繰り返しずっと歌っていた。SMAPという人達を認識していたかは定かではないけれど、服の前をはだけさせて踊る姿を未だに忘れていないほど、幼い私にとっては衝撃的だったのだと思う。

その後に続く『SHAKE』『ダイナマイト』『セロリ』の頃には、私はSMAPを知っていた。世間はSMAPに熱狂させられていた。『夜空ノムコウ』も『らいおんハート』もこの目で観ていた。『世界に一つだけの花』や、『BANG!BANG!バカンス』や『Triangle』や。一挙一動を追っていた訳ではなかったけれど、私の思い出にはSMAPの曲と結び付いているものが多くある。「良い曲がある」って友達がSMAPのアルバムを貸してくれた、その後に『世界に一つだけの花』が話題になってシングルカットされた時はすごく驚いたっけ。いつもゲラゲラ笑っていた高校生時代、「ばん!ばん!ばん!」って振り真似をしながら、坂道を下って帰ったっけ。小学校では、「ソムリエ」も「フードファイター」も「おっはー」も「スリーピース」もめちゃくちゃ流行った。久利生検事が大好きだったし、『砂の器』で泣いた。

 

個人的な思い出ばかり語ってもどうしようもないけれど、最近になってこうやって、自分の人生とSMAPの日々を重ね合わせて思いを馳せた人はたくさん居たんじゃないか。個性も、歌声も、演技の癖も、皆が知っていて当たり前な人たち。ファンじゃなくたって、自分の何気ない歴史の一部に、SMAPがいた。

国民的って、こういうことだと思っていた。

個人仕事で大活躍のSMAPが、歌番組やCMで集まると、なんだかいつもよりもメンバーが大きく見えた。SMAPで居る時、5人は5人以上の力を手にしているみたいだった。紅白歌合戦の大階段を5人で降りてくる姿の立派さに、なるほど、これがオーラか、と理解したものだった。後輩が怒濤の勢いで売れても、SMAPは揺るがなかった。不動だった。大御所だった。私にとってSMAPはとっくに売れた人達だったから、そのオーラのすごさは当たり前のものだった。

芸能ゴシップや裏事情が好きだったから、ジャニーズ事務所の派閥問題に関してはジャニヲタになる以前から知っていた。だから、何処のTV局がどっち派って理解しながらTVを観ることができていた。だけど、騒動以降はあまりにも誰もが派閥の名前を口にできるようになりすぎて、私は嫌になってしまった。ワイドショーでフリップを使って派閥を解説してるのを見て「今更かよ」って。問題の本質は、今はもうそこじゃないだろうって。週刊誌に書かれていることは逆に全て嘘なんだなと思うようになったし、誰もが信じていることこそが虚構じゃないかと疑うようになったし、何を信じていいか分からなくなってしまった。かといって、「マスコミは全て嘘!SMAPファンの総意!戦う!」みたいな勢いの強さにも気圧されてしまって、何もかも嫌になって、今年はほとんどSMAPを観なかった。観ないでいることは、簡単だった。私が観るようなジャニーズアイドルの番組に、SMAPが出てくることはもうなくなっていたから。

 

SMAP×SMAPをいつ頃から観始めて、いつ頃から観なくなったのか、正確な時期は覚えていない。大体、中学~高校の6年間はほとんど毎週観ていたんじゃないかな。TVっ子だった私は、月曜22時になるとロート製薬の音楽を聞かずにはいられなかった。とはいえ、内容はほとんど覚えていないし、その全てを面白いと思って観ていたかというとそうでもなかった。笑いのセンスが独特だったし、SEの乾いた笑い声は余計にしらける時もあった。それに、SMAP自体を好きな訳ではなかった。可愛くニコニコしている訳でもなく、漫才みたいにボケとツッコミがある訳でもないSMAPを、面白く楽しい人達という風には思ったことがなかった。不仲説にだって、さもありなんと思っていた。

だから驚いた。最終回の総集編を観て、こんなにも面白い番組で、楽しい人達だったっけって。

27曲ノンストップメドレーも、5人旅も、話題になったのを放映後に知った。あの頃私はTVを観ていなかった。だから、総集編の中で、過去の放送回の面白かったコンテンツをほとんどそのまま流してくれるのは、とてもありがたかった。そして観てみて、やっぱりすごく面白かった。なんだか、CDの特典映像みたいで、ライブそのままみたいで、これをTVで放送したんだってところにすごく感じ入った。こんなに面白いことをTVでやれるんだよって。フジテレビの言葉そのままみたいでなんか嫌だけど、やっぱりSMAPもそう伝えてきた気がした。改めてTVの魅力に気付かせてくれて、呼び戻してくれた。

思えば、私がアイドル好きになってから、SMAPをきちんと観たのはこの2週間が初めてだったかもしれない。物心ついた時にはスターだったSMAPを、知らず知らずのうちにアイドルSMAPとして見ている自分がいることに、総集編を観ながら気が付いた。

幼いジャニーズジュニアとしてアイドル雑誌に載る姿、デビュー時の映像、メンバー脱退の映像、その時々のメンバーの関係性、表情のキラメキ。自分がファンならば、こういうところを気に留めて、繰り返し繰り返し思い返すんだろうなっていう場面ばかりだった。タレントや俳優やSMAPという大きな何かではなく、アイドルという地上に置いて眺めてみた。驚くことに、SMAPというアイドル達は、とても可愛かった。最後の最後に、ジャニーズアイドルグループSMAPの魅力を知るなんて、なんたる皮肉。

そして、アイドルファンとしてアイドルを見たと同時に、SMAP×SMAPをアイドル番組として初めて観ていた。メンバーが魅力的で、ゲストもコーナーも贅沢で、世間からも評価されていて。こんな素敵な冠番組を20年も続けていたなんて、ファンにとってみたらどれほど幸福だっただろう。お仕事が決まることも、レギュラーが続くことも、冠番組のクオリティが保たれることも、ファンにとっては当たり前ではない。一つ一つが祈りと感謝の繰り返しだと、アイドルを愛した経験を得た今なら、我が事のように理解することができる。

この時間のために仕事や用事を片付け、録画をセットし、写メを撮ったりキャプを撮ったり、感想を呟いたり、ディスクに収めたり、元気が欲しい時に見返したり。私は月曜22時を日常だと思っていたけれど、そんな風にSMAP×SMAPの番組を大切に愛した人がたくさんいるんだろう。その人達のこれからの月曜を思うと、他人事ながら、涙が出てくる。月曜は、当たり前だけれど、毎週やってくる。その度襲う空虚に耐えられるか。SMAPがいなくなってしまったことを、毎週噛み締めなくてはならないなんて。

 

コンサートや番組出演で「皆これまでありがとうー!」って笑って泣くのが普通の終わり方だと思ってきたから、冠バラエティ番組で、番組と共に終わるアイドルを初めて観た。

SMAP×SMAP最終回を観たことで、SMAPはTVと共に歩んできて、輝いてきて、そしてTVの中で終わっていく。その意味が分かったような気がした。

SMAPはどんなことがあっても、歌ってその場をおさめてきた。

ごろちゃんが捕まっても、つよぽんが謹慎しても、なんとなく良い曲がかかって皆で歌って、それで月曜日が終わって、一件落着。総集編を観るまで知らなかったけれど、森くんが居なくなる日もそうだったみたい。

でも、『世界に一つだけの花』は物事を一件落着させたようには見えなかった。

幕が下りて、物語が閉じる。そんな演出で終わるかと思われた。私たちは、いつか応えてくれるはずのアンコールをいつまでも待ち続けるのだと思った。なんて綺麗なグランドフィナーレを作り上げたんだと感じていた。

しかし、緞帳の内側を、見せた。

20年の歴史とスタッフの愛を見て勿論泣けない訳はなかったけれど、どうしてもモヤモヤしてしまう。これまでは、5人の歌でTVのこちら側に何か届けてきたはずだった。だけど最後に映っていたのは、撮られていたり、映ってしまったかのような、これまでフレームの内側に入れなかった世界。

これは、SMAPらしいの?あるいは、SMAP×SMAPらしいの?

どこまでも不可解。泣き笑いで「解散します!今までありがとう!」って叫んで、嘘でもいいから「また会おう!」って叫んでほしかった。そう見せてほしかった。

だって、普通は、そうするでしょう。アイドルなら。

いつか真実が分かる時が来るんだろうか。でもその時だって、何もかもを信じられるはずもなくて。そんな不信感を抱かせたのは一体誰だって、世の中の何処かにいる誰かを責めたくて仕方なくて。誰かが悪者だ、とか、これが原因だ、とか、自分なりの結論が定まってないと世の中の見え方も決まらない。だから気持ち悪くって仕方ない。

そんな私ができることは、私の愛するアイドル達を、どの瞬間も全力で愛することだけ。…ってそんな結論で良いの?月並み過ぎない?SMAPが教えてくれたことってそんなことだっけ?

 

ただ、モヤモヤするなぁ。今年って、一体何だったんだろう。

笑顔の裏側を暴いて、不満を暴力に引き上げて。

世界を壊したい人たちは、一体誰なんだろう。何がしたいんだろう。

ただ、永久の夢を見られたらそれでよかったのに。

確かな道のない未来を、どうやって歩いていけばいいんだろう。誰が率いてくれるんだろう。

建前だとしても「歌で平和になる世界」を作ってくれた人たちは、もういない。