11月18日公開、映画『泥棒役者』を観に行ってきました!
細かい色んな話をしたい気持ちもあるんですが、観た勢いのまま書き殴ります。感想にはネタバレも含まれます。まだ観てない方は避けて頂くか、読んだら観に行きたくなるような感想を目指して私ががんばります!
あったかい物語でした。ハートウォーミングなコメディー。経歴や職業で「良い人」も「悪い人」も決められる訳がない。みんな色々抱えて生きてる。
笑いどころがいっぱいで楽しい。前園俊太郎ですっ☆の決めポーズの親指。
元々が舞台なのもあり、時間と空間を限定した舞台設定。(なんか演劇のそういう理論なかったっけ…時間空間と何かの3つは移動せずにやりきるべしみたいな…なんだっけなシェイクスピアかギリシア劇か…演劇論さぼりまくってたからな…)
夜に始まり夜に終わるたった1日の物語。舞台は主にあの家だけ。
(舞台版にはじめの恋人とか編集長とか出てこないんじゃないかな?ってなんとなく考えてた、登場しなくても語られるだけで存在する演出でもできそう)
主要な登場人物は、元泥棒はじめ、泥棒の先輩、絵本作家、編集者、セールスマン。サブで恋人と編集長とユーチューバー。あとは警官くらいかな?演じる劇団の規模や役者によっていくらでも登場人物の構成を変えられそうな面白い脚本。
勘違いコメディーだから、ここを失敗すると全てが破綻してしまう、という瞬間が何度かあって、はじめの機転(というより流されているだけ)によりなんとかうまく持ちこたえていくんだけど、一旦「本人バレ」により破綻してしまう。ここでどうなるかと思ったら前園が「泥棒役者」の共犯者になるという展開。この辺りが面白かった。
そのうち4人で1つのことを成し遂げようとがんばる展開に。正直みんなが「それはいい!」と絶賛する企画案がくだらなくて、本人たちの必死さとのギャップが面白いんだけど、当人たちは一所懸命なのに端から見ると滑稽なのが青春って感じで良いシーンだった。その笑顔を外から見るだけで入れない人もいるところも含めて、一時的な人間の結束。
また、良い雰囲気が一瞬で緊迫に変わるシーンは、全ての関係を台無しにしてしまうことにもつながりそうでハラハラした。宮川大輔さんだけもうずっとマジにこわくって、あのほんわかした笑いの雰囲気が通じない「悪い人」なんだけど、最後の最後に「変身」という形で未来への希望を見せてくれたのも彼だった。
普段のキャラクターが濃い人が、濃いキャラクターを演じているので、とにかく人物が強い。見た目にもインパクトを持たせているしそれを容赦なく言及するところがあってユースケ・サンタマリアさんへの「顔色の悪い」が妙にツボにはまってしまった。
キャラもの、多少強引な勘違いの連続。喜劇とコントとの差はどこにあるのだろうなんてことも想った。この物語が板に乗る時それは演劇と冠するけども、ではアンジャッシュのコントもアンジャッシュ以外の人物が演じれば、複数組み合わせて筋にすれば演劇になるのか?差を差たらしめるものはなんだろう。
舞台は、舞台という限られた空間でどれだけ多くのものを見せてくれるのかという驚きもその楽しみの中に含まれていて、狭い家の中で次々に人が訪問し事件が二転三転していくこの話は舞台上ならさぞかし見応えがあるだろうと思った。逆に映画の場合は「映画のスケール感」、つまりロケや大河的な時間経過というものに慣れてしまっているところもあるので、この物語を映画で見せると少しだけやっぱり「ハコ感」があるなぁとも思った。
もちろんそれはこの映画の最大の特徴であり、立派なチャームポイントなのだけど。ここで感じている「閉じ込められている感」「扉の向こうが遠い感」があるからこそ脱出の解放感が生きるし、外の明るい世界で待つ恋人はまさに別世界の人として位置付けられることもできる。狭い家の中の更に狭いところに閉じこもってしまう人は、あの家の中で最後まで心を開けないままだった。開くことができていたら、どんなコンプレックスも皆でゆるく笑い飛ばすことができていたかもしれないのに。そういう笑えない役に本職がお笑い芸人の宮川大輔さんという配役だったのは面白かったとも思う。
恋人とはじめとの生活がとても良い雰囲気で、冒頭のあの時間は幸せそのものだったし、時折送られてくるメッセージからも「嘘つきで隠し事をしている泥棒」という肩書きだけは最低な男にはふさわしくないくらいの可愛く優しいしっかりものの彼女ということが分かる。
最後のシーン、わりとお決まりの展開なのにも関わらず、じんと来てしまった。太陽くん。あったかいモジャ。今ここでラストシーンになったらまずいぞ、『応答セヨ』かかったらまずいぞまずいぞ…と思っていたにも関わらずイントロが流れ出してしまった。前園さん、宮川さんからのみさちゃん。人情三連発はずるい。一気に涙が溢れてしまった。
「つまずいてばかりの僕を 君だけは笑わなかった」
ああ…涙腺が。そこから、Aメロ歌い出しの丸ちゃんの声がはじめで。はじめの声は丸ちゃんの声だったけど、丸ちゃんの声もまたはじめの声だった。
音楽の使い方が実にずるい。2番に入るや否やの後日談…そして雲間から現状突破するようなサビヘ。主題歌:関ジャニ∞『応答セヨ』のエンドロール。感慨深いとかそういうものを体験しにいったつもりはなかったのに、本当になかったのに、勝手に高ぶってずっとぽろぽろ泣いていた。来てほしいところをぴったり突いて来た音楽。全てを包み込むような言葉。
「君が思うほどは まっすぐに歩いてこれなかったけど いつかまた逢えたら」
モジャとマッシュと奥さんと轟さん。タマとミキともじゃもじゃいぬ。
何度でも生み出せる。無からも有からも。人は未来を続けられる。
余りにも濃いキャラクター達と限定された空間の中の先の読めない展開。時に面白く、時に考えさせられる人間ドラマ。笑うも泣くも驚かされるも、映画館の中の観客が1つになるような感覚があり、とっても心があったかくなりました!タマとミキ、まだ終わらないニャー! #泥棒役者 #感想
— 奏ポルカ@泥棒役者 (@polka8dot) 2017年11月18日
出先からの更新のため散文失礼しました。
『泥棒役者』と『応答セヨ』が、はじめにとっての『タマとミキ』のような作品になることを祈っています。