雨の降らない星では愛せないだろう?

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「卒業おめでとう」が言えなくて

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2020年12月9日が終わった。

 

暦というものには例外が無く、この日が来ることは全人類自明の理だった。

なのに、8日の後には淡々と9日が訪れ、前日と同じ24時間で終えてしまったことが未だに信じられない。

 

船木結は、行ってしまった。

 
 

 

素晴らしき卒業コンサート。どうやっても目が足りなかった。

ひときわ輝きを放つむすぶから、1秒たりとも目が離せなかった。

だけどアンジュルム全員のことも、一夜限りのそのライブも、絶対に見逃したくなかった。

 

悔しかった。

ツアーで観たかった。

更に完成度の高い、戦闘意欲を高めたアンジュルムを観たかった。

 

この8人なら、11人なら、まだまだ、もっともっと、どこまでもいけるのに、なんだってできるのに、ここで断ち切られてしまうのが惜しかった。

ここまでのものを見せておいてたった一度で終わりだなんてと、恨みがましく思った。

 

事務所にも、コロナ禍にも、むすぶ本人にも。

どうして、なんで、いやだいやだと泣き言をぶつけたかった。

ただただ、駄々が止まらなかった。

 

お祝いよりも、感謝よりも、悲しみの言葉が口をつく自分をひどく最低だと思った。

寂しさなんて感じたくなくて、いつまでも泣いてすがる自分は、推しの足かせにしかならないと惨めな気持ちになった。

 

 
  
船木結、アイドル。
そのラストステージに向けて高めてきた美しさに息をのんだ。
 

誇張でもお世辞でもなく、私が知っている限り本当に本当に本当に、船木結史上で一番美しかった。

その姿はもはや芸術品だと思ったほどで、我ながら、人は、人の外見にこれほどまでに胸を打たれることがあるのかと衝撃を受けた。 

 

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美味しい料理を食べたら、また食べたいと思うだろう。

面白そうな連載を読んだら、続きを読みたいと思うだろう。

 

そんな当たり前の欲望と同じく、この船木結の続きが見たいと、切に願ってしまった。

こんなに美しいものなら明日も見たいと、本能が欲張ってしまった。

 

そして、その願いは叶わないんだと、打ちのめされた。

 

 

 

いざライブが始まってから、現実感の無さに驚いた。

コンサートは自分の覚悟の無さをよそに、するすると進んでいった。

 

1フレーズ、1番、1曲。歌い終えた分だけ別れが近付く。

終わりの実感というものが急激に湧き上がってきて、おそろしくなった。

マラソンで例えると、既に陸上トラック上を走っているのだと悟った。

滞りない進行は、ただただ無慈悲な時の流れだった。

 

わたしはばかだ。

 

1年以上前から「卒業」を知っていたのに、それがどういうことなのか、何にも分かっていなかった。

「卒業」をリアルに想像したことなんてたったの一度もなかったんだということが、ようやく分かった。

 

 

卒業コンサートを観ながら自分が何を思うのか。

愛する人に会えなくなるというのは自分にどんな感情をもたらすのか。

全然考えてもいなかった。その時が来るまで、身構えてすらいなかった。

むすぶがいない明日を生きる自分がおそろしくなった。

 

目前のライブを目に焼き付けたい反面、突然始まった未来の演算に、心はついていけなかった。 

 

 

本来なら、渦巻く感情にとらわれる隙なんて無かったはずだった。

セットリストに歓声をあげて、全力でコールを叫んで、最後の一瞬まで名前を呼んで。

愛を、時間を、ただ全身で受け止め、発散すればそれで良かった。

 

唯一の方法だったんだ。完全燃焼に向かうには。

そうしたかった。想いなんかどうでもよくなるくらいに。

ライブの終わり、そんな自分になれたら、どれだけ楽だったことだろう。

 

晴れ晴れとした気分で「卒業おめでとう」の言葉を贈る自分に、ただしく進化しそこねてしまった。

 

 

 

 

今は、これまでの、愛していた日々全てが自分に都合のいい夢だったように思える。

奇跡だった。いや、幻だったのかもしれない。

全てにおいて心をときめかせてくれた、どこまでもただ愛したくなるその存在。

 

とても大好きだった。

感情の浮かぶ目元も、しなやかな手首も、冗談のセンスも、幸せを届ける心も。

全てが、船木結だった。

 

愛していた。

 

もっともっと、もっと、愛したかった。  

  

 

 

会えない。少なくともしばらくは。

そして、もしかするとこのまま一生。

もう二度と見られないかもしれないその笑顔を、わたしはまだ、失いたくない。

 

どうか、まだ沼に生きさせてくれないか。

 

愛していたい。

このまま、永遠に12月9日に引きこもって。