生きていると「今日はかつて何かの日だったな」という日がある。引っ掛かりを覚える日付について思い出してみると過去に関わりのあった誰かの誕生日だったりすることもあるけれど、結局はチケットをとって観に行った演劇やコンサートの日だったということがとても多い。
6月18日もそのうちの一つで、2019年に日本武道館でアンジュルムのコンサートが行われ和田彩花さんが卒業した日だ。その日現地に居て、コンサートのチケットや飛行機や夜行バスの手配、有給申請など全部をこの日付に合わせて動いていたのだから脳裏に焼き付いているのもさもありなんという感じである。そうか、もう丸4年も経ったのか。
竹内朱莉さんの卒業まであと数日という感傷に浸りながら迎えた6月18日に、改めて4年という月日の重みを感じた。
あのコンサートの帰り道、「タケちゃんが子どもみたいに泣きじゃくっていた」という事実が、あやちょの毅然とした美しさと同じくらい印象的で、ずっと考えていた。
「23時59分までは」。その時までは甘えていたいタケちゃんに、全く不安がないといえば嘘だった。アンジュルムのリーダーを任せられるか否かというより、6月19日以降生まれ変わるつもりのタケちゃんはそれまでの竹内朱莉らしさを捨ててしまうのではないかと、それが心配だったのだ。
無邪気で、笑顔も歌声も明るくて、与えられたポジションでいつも輝いていて、にぎやかで、とりつくろわない。そんなタケちゃんが大好きだからこそ、もしリーダーの立場でしがらみにがんじがらめになってしまったら、それは成長とはいえ残念だ。
あやちょの肩に顔を埋めて泣いたタケちゃんとはお別れなのだと思った。これからは、きっと泣かないタケちゃんになってしまうのだと感じた。
ところがそうはならなかった。そうなっていたらそれはそれで物語の美しさがあったが、予想に反してタケちゃんは誰よりも泣いた。卒コンの度にリーダーが一番泣いていて、びっくりした。でも、そこが良かった。すぐにもっと好きになった。
笑顔で送り出す以外の選択肢がとれるタケちゃん。涙を封じ込めない、立派な言葉も紡がない、そんな素直さは貴重だ。相次ぐ同期の卒業、どこかアンバランスなメンバー間、先が見えない激動の2019年だったが、しなやかで強い竹内リーダーらしいアンジュルムはあの時既にもう形作られはじめていたのだと思う。
2020年、未曽有の事態でも竹内リーダーは揺らがなかった。むしろ強固になったのがこの年だった。
わたしは、船木結推しとしてこの時期のアンジュルムに非常に感謝している。あの時、アンジュルムというあたたかな器が無かったら、アイドルふなちゃんの1年はただ失われたものになっていたかもしれない。手の繋げない距離で、抱き合えない距離で、励まし合いながら愛を伝え合いながら、自分たちの居場所を踏みしめる彼女たちはとても強かった。
8人で一つの小さなアンジュルム。その核にタケちゃんが笑って居てくれたことで、ファンもメンバーもみんな彷徨わずに済んだ。
なんだか年ごとに振り返る流れができてきている。では2021年、一気に色が変わった。『はっきりしようぜ/泳げないMermaid/愛されルート A or B?』のシングルは出色の出来で、快進撃かっこよかった。「第2章」って言葉だけが先行してた2019年よりぐぐっと輪郭が濃くなった感じがしたし新鮮だった。
三色団子ちゃんとりんちゃんの関係が橋迫軍団として確立していくにつれ、アンジュルムに一本筋が通ったというか、タケちゃんからりんちゃんまで、そして更にその先へと繋がったような感覚があった。
竹内リーダー率いるアンジュルムが完全に軌道に乗りきったね。いつの時代もにぎやかなスマイレージ/アンジュルム、こんなにメンバーが変わっても雰囲気が同じってすごいことだよ。年少者たちがのびのびしているのは明確にリーダーのおかげだ。
2022年。熟したアンジュルム、そしてタケちゃんも。
タケ、りかこ、かみこ、かむの4人がセンターにいるとまさに無敵を感じた。他の人を見ようと思っても目が離せなくて、わたしって竹内朱莉さんめっちゃ好きじゃんってすごい思った。ステージでタケちゃんという脂の乗ったパフォーマーを見られる幸福を噛み締めていた。アンジュルムファンとして満ち足りていた。
2021年から生たけ継続、書のお仕事も順調で素晴らしかったな。そんなタケ率いる時代のアンジュルムが『愛すべきべきHuman Life』で一つアンセム完成して嬉しかった。
そうやって2023年を迎えたけど、本当に4年間濃かった。充実していた。
不安定なところも不安なこともほとんど無くて、強く大きくなっていくアンジュルムに安心してついていけた。ファンが頑張って押さなきゃ、推さなきゃって勇む気持ちが全然無くて、今のアンジュルムは全てが正解だし最高だ。そういうゾーンに入ってる。
タケちゃんは「リーダーなんて自分にも出来たんだから大丈夫」って卑下でなく素直にそう言うけど、わたしは逆立ちしてもそういうことを言えないタイプの人間だから尊敬する。心からそう思ってそう言えることがかけがえない才覚だって、なれないわたしだから分かる。本当にすごい。
かみこが3代目リーダーに就任することがお知らせされて、予想と違ったけど期待外れではなくて、ますますワクワクさせてくれる展開だと心が躍った。自分たちで話し合って決めたというリーダー。かみこは、これまで自分が過ごしてきたアンジュルムが大好きだから、その選択をとったのだと思う。たすきを渡すその先で、愛ゆえに走り出そうと手を伸ばして待っている人がいること、それって2代目にとって何よりも最高のゴールじゃないだろうか。
いざ卒業に向けて言葉を紡ごうとすると、祝辞というより謝辞になる。どっちかっていうとラブレターになる。
タケちゃんが好きだ。あなたの歌が好きだ。あなたの踊りが好きだ。あなたの言葉が好きだ。あなたの振る舞いが好きだ。あなたの表情が好きだ。あなたの存在は光だ。
スマイレージに始まりアンジュルムに至るまで、いつもグループを明るく導いてくれたあなたは偉大だ。
タケちゃんがスキだ。タケちゃんがいるアンジュルムがスキだ。
『チョトマテクダサイ』でわたしと出会ってくれたあの日のタケちゃん。
『次々続々』で大きな会場全ての熱狂を集めていたあの日のタケちゃん。
『がんばらなくてもええねんで』で遊ばれていたあの日のタケちゃん。
『交差点』で泣いていたあの日のタケちゃん。
『大人の途中』でイケ散らかしていたあの日のタケちゃん。
「男性の皆さん楽しかったですかー?女性の皆さん楽しかったですかー?」と訊いてくれたいつものタケちゃん。
「みんなも一緒に歌ってね!ハイ!」タケちゃんの煽りでライブは何倍にも何十倍にも楽しくなった。そんな記憶を持って生きられていること、幸せだ。
アイドル竹内朱莉がこれまで放ってくれた輝きの全てに心から感謝したい。
改めて、卒コン終わりの瞬間を想像するとさみしすぎる。
タケちゃんの好きなパート、1回のコンサートで全部見れないじゃん。あれもこれも全部聞きたいよ。これからもずっとあなたのオリジナルで見ていたいよ。
『交差点』や『友よ』のことなんて考えたくもないほど。だけどきっとめちゃくちゃ攻撃的に、そして心から横アリのステージを楽しむ彼女たちが観られるだろう。それはすっごい楽しみなんだ。
「アンジュルムより愛をこめて」その場にわたしは立ち会えないけれど、いちファンより愛をこめて。アンジュルムがたくさん届けてくれた大きな愛の気持ちは何億倍にも膨らんで明日横アリを満たすよ。
メンバーとして、リーダーとして、あなたが注ぎ込んだ愛の結晶たちに囲まれて、これ以上にないほど華やかに愛されて旅立って行ってほしい。
いつの日のショートカットも、いつの日のロングヘアーも、どんな時も大好きです。
どうか良き卒業の日となりますように。最高で最強のライブを楽しみにしています。
いっぱい泣いて、いっぱい笑ってね。
……「大好きよ、ありがとう」。その歌詞は誰が届けるのかな。
その時タケちゃんはどんな顔するのかな。きっと、満ち溢れる全てはLOVEだね。